鎌ヶ谷市の江戸前酢のこと その2

静置醗酵法の蔵を出ると、向かいに通気醗酵法のプラントが広がります。
私市醸造さんでは、伝統的な木桶仕込みと近代的な醸造法の2系統で生産を行っています。
大型のタンク内の醗酵液に強制的に空気吹き込み攪拌していきます。
下の写真がアセテーターと呼ばれる仕込みタンクです。
タンクの下にタービンが付いていて、ビールのような細かい気泡を発生させる事により、
液体中でも酢酸菌が増殖出来るようにしたホワイトビネガーを作るシステムです。
静置醗酵法に比べ、醗酵効率が良いので24時間でタンク内の原液を酢にする事が可能です。
出来上がる酢の酸度も高く、静置醗酵法のおよそ3倍の15%と高く、プラント内には
酢の香りが漂います。出来立てを味見させて頂いたところ、濃厚なのにさわやかな酸を感じます。
ここで醸造された酢は、高濃度な酸度を利用し水産品、マヨネーズ等の加工品に利用され、
また、ブレンド用のベースとしても利用されています。
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農産物には澱粉質があり、糖分が含まれています。
これらは麹や酵素で分解し、ぶどう糖に変換する事が出来ます。
そこへ酵母を加えるとアルコールが出来、酢酸菌はアルコールを摂取し、
酢酸菌の菌体外へ酢酸を醸成し酢が出来上がります。
私市醸造さんは別のアセテーターを使い、穀物、果実を用い様々な食酢を醸造しています。
下の写真は、純米酢のもろみを作っているところです。
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短時間で醸造された酢も、的確に熟成が施されます。
大型のタンクで熟成された酢にはまろみが備えられ、瓶詰めされ出荷されて行きます。
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戦後、酢の製造技術の進歩が進むと独特の風味を持つ「赤酢」に変わって、
米から作られる透明で癖のない「米酢」が市場に出回り主流になりました。
私市醸造さんでは、伝統を守りながら近代的な酢の醸造を行う醸造場です。
歴史に裏付けれたそれぞれの良さ、特徴を研究し市場に供給する醸造場でした。
日本を代表する、常に台所にもある身近な食材なのに、
漠然とした製法しか知らなかった自分に反省してしまいした…。

一通り見学をさせて頂いた後は、画像はありませんが純米酢のテイスティングです。
自社、他社の物が3種類並びます。お酢のブラインドテイスティングは初めてです。 
1杯目は黄緑掛かった色調の純米酢、2杯目はやや薄い色調、3杯目は熟成物?のようです。
1杯目はフランスロワール辺りの白ワインを思わせる、澄んでいてフルーティーな味わいです。
鯛のカルパッチョやパプリカなど甘味のある野菜のピクルスに向いていると思いました。
2杯目は量産タイプの日常品の様に感じ癖も感じません。万能向きなのでしょうか?
3杯目は料理の深みを取るのに良いかと思いました。一言に純米酢という中でも
それぞれには個性があり、目的がある物だと実感しました。
お酒を生業とする私はその感覚で試飲してしまいたが、今回同行してもらった
親友で和食の料理人、O崎君は端的に1は白身の魚、3は赤身の魚、2は調味料と
的確に感じたままをコメントしてくれました。具体適な感想が一番伝わるし、
参考になるだろうな~と、また反省・・・。
帰り際に伺ったところ、1杯目が私市さんの純米酢でした。

近く、仲間を巻き込み、分けて頂いた江戸前赤酢を使った料理を作ってみようと考えています。


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by chibanokoto | 2011-04-27 02:37 | 最近体験した●●●のこと  

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