神崎の寺田本家「五人娘」のこと

神崎町の「発酵の里・酒蔵祭り」へ。
小さな町の2軒の酒蔵が各々開催していた蔵開きを、
毎年3月同日にあわせた町をあげてのお祭りです。
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蔵を結ぶ大通りは100件以上?の店が並ぶ歩行者天国。
人口の5倍を超える3万5千の人々が訪れると言われる盛況なお祭りであります。
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江戸時代、利根川水運の利便性と、
穀倉地としての環境に恵まれた神崎町は醸造業も発展。
「五人娘」を醸す寺田本家が創業したのは
延宝年間(1673年頃)今から300年も前のことです。
「麹」「乳酸」「酵母」の生命力を大切にし、共存し、
無農薬米に拘り昔ながらの手間と労力のかかる酒造りを続けています。
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麹は自社田の稲穂につく稲麹菌から。
稲穂の黒い部分が天然の稲麹菌であります。
稲麹菌から黄麹菌を取り出し培養して麹を造ります。
昔の稲作では稲麹菌がついた年は豊作といわれたそうですが、
今では稲の育ちが悪くなるとの事で発生を防いでいるそうです。
初めて見ました。
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もうひとつ、こちらは玄米の麹「玄米酒むすひ」に使われます。
玄米を1週間ぐらい水や湯に漬けて発芽させ、
お米を活性化状態にすることによって麹菌が活動しやすいようにします。
通常は1回の蒸しを2度行いますが、
玄米には丈夫な皮(糠層)があるので麹菌が中へるまでには時間がかかるそうです。
玄米酒造りは良い玄米麹ができるかどうかで決る訳であります。

麹室には炭の効果を活用しているそうです。
5tの備長炭が麹室の周囲を包んでいます。 
電子を発生し磁場を作り、生物である麹がイキキト発育する環境を整えるといいます。
そう言えば蔵のあちこちにも備長炭が置かれていました。
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お酒のスターターと言える酒母は伝統的な生もと造りであります。
近代的な速醸もとは酵母の生育に適した乳酸を添加しますが、
寺田本家では人手と時間を掛けて麹と蒸米、水をすり潰し、
蔵に生息する乳酸菌や酵母菌を取り込み、力強いお酒の酛を造るのであります。
蔵人のお兄さんは、「便利を捨てると本質が見えてくる。
お酒が様々な生物によって活気付くと、苦労を超えて自分も元気付く」と言います。
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生もと造りの日本酒は旨みが多くコクがあります。
自然界の生物と蔵人がイキイキと醸した寺田本家の「五人娘」は、
飲み手もイキイキさせる自然の力に満ち溢れた日本酒なのであります。
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by chibanokoto | 2013-03-31 03:48 | 最近体験した●●●のこと  

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