<   2011年 07月 ( 9 )   > この月の画像一覧

 

大原の古酒「古今」のこと

1956年 高温山廃モトを導入。
1965年 長期熟成酒の開発に成功。
1967年 自然農法産米による自然酒の製造を始める。
1971年 都内にて9年ものの古酒「オールド木戸泉」販売
1972年 一段仕込み多酸酒「アフス」発売
1976年 純米古酒「古今」誕生。

何れも30年以上も前の話しです。
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いすみ市大原の木戸泉酒造が、いかに革新的な酒蔵かが伺えます。
当時は奇抜な酒と苦労もあったそうですが、今ではそれが個性となり
古酒と言えば木戸泉と言われるまでになり、蔵の大切な財産となっています。

その最高峰が「古今(コキン)」
昭和天皇の侍従長、故入江相政氏が愛飲し、
自らラベル字を手掛け命名した山田錦、純米原酒の20年古酒です。

・味わいにコクがあり、ふくらみのある酒。
・自然米、三原菌(麹菌・乳酸菌・酵母菌)がのびのびと発酵した酒。
「旨き良き酒の追求」木戸泉酒造のテーマです。

良い酒は、旨みを持って熟成し、なおも価値を発揮する事を
この古今は体感させてくれます。
視覚、嗅覚、味覚。更に味覚では、甘味、酸味、旨味、ビターな加減と
感性で味わう日本酒と言っても過言ではないと思いますよ。
日本酒の古酒を、未経験の方は是非お試しを!
「古今」は古酒ならではの深い味わいと、ドライな余韻を兼ね揃えた
古酒の王道を行く酒だと思うのです。
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・麹、掛米 山田錦
・精米歩合 60% 
・協会7号酵母
・18%以上19%未満
・720ml 6,200円

・木戸泉酒造 千葉県いすみ市大原7635-1



大原の古酒「afs(アフス)」のことへ
大原の「木戸泉」梅酒のことへ
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by chibanokoto | 2011-07-27 04:01 | 最近体験した●●●のこと  

大原の古酒「afs」のこと

山あり川あり海ありと、自然あふれる町、いすみ市大原。
JR外房線といすみ鉄道の大原駅からほんの数分歩くと
木戸泉酒造のシンボル「煙突」と「巨大な杉玉」が見えてきます。
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創業明治12年(1879年)、木戸泉酒造さんの特徴は
「吟醸酒」を造らないこと、「自然米」を使用すること、
そして半世紀も前から研究を重ね「古酒」の世界を具現化した蔵だと言うこと。
一言でいうと、コクと深み、旨みのある日本酒を醸す代々に渡りブレの無い、
懐もふか~い蔵元さんなのです。

木戸泉酒造さんを紹介する上で欠かせないのが「afs(アフス)」のことです。
昭和30年頃、海外で飲んだ日本酒に危機感を覚え、
「海外でも日本酒を楽しんでもらうには、輸送時間が掛っても劣化しない酒、
ワインやウイスキーに負けないコクや酸を備え、
熟成にも耐え、年を重ねてこそ味わい深くなる酒を造らなければ・・・」
と独自の酒造りと熟成の研究を始めたそうです。
そして辿りついたのが「高温山廃一段仕込み afs(アフス)」です。

◆通常山廃モトの仕込み温度は8度前後ですが、アフスの場合55度。
◆市販や天然乳酸菌を使わず、自家培養した乳酸菌を投入した山廃仕込み。
◆米、米麹、水を数回に分けて投入する段仕込みは行わず、物量全てを一段で仕込む。
(かなりハショッタ説明ですが…)

この製法により濃厚多酸、フルーティーで白ワインのような日本酒、
爽快な酒「afs(アフス)」が誕生します。
この独特の味わいは、熟成後も個性的な味わいを見せてくれます。
アフスの乳酸由来の酸は、優しく練られた甘みと共存し
余韻の長い褐色の古酒に仕上げられています。
それはまるで上質なシェリー酒を思わせる重厚さです。

画像は1975年物ベースのブレンド酒と新酒の「afs(アフス)」です。
※画像とスペックは私の職場、品川のバー仕様の物です。
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<純米 afs 2011>

・麹、掛米 総の舞
・精米歩合 65% 
・協会7号系酵母
・15%以上16%未満
・360ml 1,050円

・木戸泉酒造 千葉県いすみ市大原7635-1


そしてもう一つ、木戸泉酒造を代表する古酒に「古今(コキン)」があります。

木戸泉の古酒「古今」のことへ
木戸泉の梅酒「アフス・ウメフレーバー」のことへ
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by chibanokoto | 2011-07-26 04:12 | 最近体験した●●●のこと  

大原の「木戸泉」梅酒のこと

6月中旬に千葉県大原の酒蔵、木戸泉酒造さんから梅酒が届きました。
ほんのちょっと昔までは、梅雨時となると、
あっちらこっちらの家庭でお手軽に漬けられていた梅酒ですが、
核家族化の影響か?自家製梅酒をあまりみなくなった気がします。
子供の頃、夏休みに友達の家に遊びに行くと麦茶か濃いめのカルピス、
たま~に自家製梅ジュースがおやつに出たりしていましたけど、
自家製梅酒や梅干し同様めっきり見なくなりました。

梅酒はアルコール度数の高い蒸留酒でつけるのが一般的ですが、
数年前から、日本酒蔵が自社の日本酒で漬けた梅酒が多数商品化されています。
低アルコールで甘めなお酒が求められる今の時代には合っているのかも知れませんね。
木戸泉さんも昨年から、リキュール免許を取得し販売目的で梅酒を漬け始めました。
数年前から木戸泉ならではの梅酒を造る為に、試作を繰り返していたと聞いていました。
5代目は「いまさらですが…」と謙遜されますが、他には無い梅酒に仕上がっています。
商品名は、「アフス・ウメフレーバー」 ラベルは妹さんのデザインです。
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使用する日本酒は、木戸泉の代名詞「アフス(afs)」です。
古酒にする為の独自の製法、高温山廃一段仕込みで醸造される新酒のアフスは、
自家培養の乳酸菌由来の独特のパインのような甘酸っぱさが特徴です。
この日本酒は新酒時も古酒も定評なので、梅酒には僅かな量しかまわせません。
年間600本の販売と言ったところだそうです。

このフルーティな日本酒を使い、酸の立つ梅酒に仕立て上げています。
梅酒と言うと甘味が先行して女性的なイメージがありますが、これは骨太な梅酒です。
甘味控えめ、梅の香りとアフスの酸、旨味あるドライな味わいが、
さあ食べるぞ飲むぞと!爽快に食欲を促進させてくれるます。
旅館の食事に付いている梅酒が「アフス・ウメフレーバー」だと嬉しいだろうな~。
もちろん自宅でも、食前やお風呂上がりにお勧めの逸品です。

木戸泉の古酒「afs(アフス)」のことへ
木戸泉の古酒「古今」のことへ 
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by chibanokoto | 2011-07-25 04:18 | 最近体験した●●●のこと  

野田の清酒「勝鹿」のこと

千葉県最北の造り酒屋、窪田酒造さんは創業明治五年(1872)
前身は近江商人、屋号は「ひのや」 滋賀から岩手へ移り酒造業をはじめ、
明治23年、利根運河開削にあわせ野田に移ってきたそうです。
岩手の蔵を移築した蔵は、元禄の頃の建築材が今も使われていて歴史を感じさせます。
野田を選んだ理由は、利根運河の運搬の利もありましたが、冬、川を吹く風が
蔵の気温をマイナス度まで下げ、寒造りにも適していたからとの事です。
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奈良時代、西は東京都墨田区や江東区、東は千葉県船橋市、
北は埼玉県久喜市にまたがる広大な都、葛飾が存在しました。
奈良正倉院文書には「葛餝郡」と記され、万葉集では勝鹿・勝牡鹿・可豆思賀と
表記されているそうです。後に武蔵国、下総国に分かれ藩制、廃藩置県を経て
現在のような市町村となりますが、今でも、市川、船橋、松戸、野田、柏、流山、
我孫子、鎌ケ谷、浦安地域を指す地名として東葛と言う呼び名が残っています。
窪田酒造さんの清酒のブランド名「勝鹿」は、万葉集の「かつしか」から取った物です。

もう一つのブランドが古式造り本みりん「宝船」
創業時から伝統を守り、飲用みりんの醸造を続けています。
みりんの記事はこちら →

窪田酒造さんは、ご家族4人で醸造を行うアットホームな地酒蔵。
ご案内頂いた社長はとても丁寧で、実直な印象を受けました。
お忙しい中、細部まで案内頂き感謝です。
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購入した「特別純米酒・勝鹿」にも蔵の雰囲気が出てます。
お米の旨みがじんわりとひろがり程よい酸が断ち切ります。
やや濃口ですが、アルコール感があるのでバランスが取れていて飲み飽きません。
普段飲みにはピッタリで鍋なんかにも良いのかな?

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・麹、掛米 五百万石
・精米歩合 60% 
・協会9号系酵母
・15%以上16%未満
・720ml 1,019円

・窪田酒造 千葉県野田市山崎685
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by chibanokoto | 2011-07-24 12:10 | 最近体験した●●●のこと  

船橋の牧場のこと

船橋市の佐久間アイスクリーム工房へ出かけました。
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新京成線、滝不動駅の直ぐそばを走る県道沿いの住宅地に、突如この工房は現れます。
ここのアイスクリームの特徴は、できたての出来立てであるということ。
工房の真裏には佐久間牧場が併設されていて、
搾乳前の子牛を含め、約50頭の乳牛が飼育されています。
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牧場で絞りたての濃厚ミルクを使った、牧場手作りのアイスクリームを
その場(船橋の町中)で食べられるわけです。
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工房の裏手には、畑や花畑も広がっていて、
乳牛と花を眺めながらのんびりとアイスクリームを食べる事もできます。
持ち帰りもイートインも、後から々お客さんが途絶えません。
掲示板には、牧場の受賞歴が紹介されていて、
牛乳そのものも優秀であることがうかがえます。
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佐久間牧場では、見学もさせてくれるそうです。
牧場というと、どうしても臭いの事が思い浮かびますが、
この牧場ではあまり気になりません。
見る限り、乳牛の健康維持の為に衛生管理が徹底されていて、
良質な生乳を得る事に繋がっているようにも思えます。
堆肥は作物や花の畑に使われていて、収穫された物は
工房の隣の販売場で買い求める事ができます。

牛がいて、ミルクがあって、肥料が生れ、作物が育ち、花が咲く
自然のサイクルを凝縮してなんとなく体験出来る牧場が、
こんなに身近にあるとは気が付きませんでした。

帰り道、滝不動駅の脇の踏切を渡り、しばらく走ったところから
所々に「ひまわり畑 ⇒ 」の看板が出てきます。
気になったので、導かれるまま進んでいくと、そこには
お日様に向かって力強く、沢山のひまわりが咲いていました!
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聞くところによると、15年程前から地元の農家の方々と
畑の間裏にある金杉小学校の生徒たちが中心になって、
毎年4月に種をまき、約5万本のひまわりを咲かせているそうです。
夏休み前の開花にあわせ、お祭りも行われているそうです。
広大なひまわり畑は迷路になっていて、偶然にも良い景色に出会うことが出来ました。

アイスクリームに、ひまわり…。今年も夏が始まりました。

ちなみに千葉県は、酪農発祥の地でもあるんです。
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by chibanokoto | 2011-07-12 02:28 | 最近体験した●●●のこと  

勝浦の米のこと

勝浦市の高旨農園さんでは椎茸栽培の他、50アールの水田で水稲栽培も行っています。

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お米の作付面積の全国平均は95アールですので、椎茸栽培同様目の行き届く範囲、
高旨さんのイメージするお米ができる範囲での栽培のようです。
(100アールは10反、1ヘクタール。3000坪になります。
50アールでおおよそ40俵(1俵約60kg)のお米が収穫出来るそうです。)

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高旨さんでは、4月の種まき作業から米作りが始まります。
種もみを水につけ、沈んだ中身の詰まったよい種もみを選び、
発芽しやすいように水に浸し、土と種もみを合わせ専用の箱に入れ、
健全に育つようハウスで温度管理や散水を行い、小さな苗に育てます。

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その頃田んぼでは、春の田おこしと代かきが行われます。
土がやわらかくなるように土を耕し、田んぼに水を入れる作業です。
代かきは、田んぼの水持ちを良くさせ、水深のむらを無くし、
同じ深さに田植が出来るように田んぼをならして行きます。
高旨農園では近くを流れる清流の水を引き込こんでいます。
川には今でもシジミやホトケドジョウ、カジカ蛙、蛍などが沢山生息していて、
水田にもホウネンエビが泳いでいる程綺麗な水です。

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そして5月を迎えた頃田植え作業が行われ、元気な稲に育てる為に、
夏場にかけて除草作業が行われます。田んぼとあぜの草取りは重要な作業です。
害虫が発生しないように、こまめに除草作業を行うそうです。

茎の増える時期が終わると田んぼの水を抜き土を乾かす中ぼし作業が行われます。
稲の状態をみて発育をコントロールする作業で、
酸素を土の中に取り入れ、根をしっかり張らせるために行います。
田んぼの土をかたくして秋の稲刈り作業を行う準備でもあるそうです。

8月中旬、稲が穂を出し花が咲き、受粉が行われ実になり稲穂が育ちます。
葉の状態などを確かめながら田んぼをケアーして行くそうです。

9月になると稲刈り・脱穀・乾燥・もみすりの時期になります。
稲刈りは、刈り取りと同時に脱穀までしてくれるコンバインを使う農家がほとんどです。
脱穀された後、乾燥させて籾殻をとり玄米にし貯蔵されます。
この一連の作業は、今では近代設備の整った施設でまとめて行われています。

高旨農園ではこの作業を昔ながらの方法(ほぼ人力)で行っています。
刈り取りが行われた稲は、干し台に並べられ天日で干されます。
高旨さんの田んぼでは、重機も使わず「環境に優しく人には厳しい(笑)」作業が続きます。
田んぼの肥料にも大豆を使っていて、なるべく環境に負担を掛けないようにしているそうです。

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穂だ掛けと言う作業です。ご主人の話では、
刈った後の稲にも栄養が残っていて、天日でジックリ干す事により
栄養が米にまわるとのお話でした。便利さも大切ですが、
昔ながらの方法には意味があるのだなと感心させられます。
今では穂だ掛けをしている田んぼを殆ど見かけません。

天日干しされた稲は、9月中旬に脱穀され玄米になり出荷されていきます。
高旨さんによって手を掛けて育てられたお米は、
評価が高く、毎年のようにコンクールで入賞しています。
田植えが始まった段階から売れていくと言われる程で、
ご本人でさえ、出来たての米を味見する程度しかまわらないそうです。

お米のお話をうかがっていると、
11月が最盛期の椎茸のお話を、もっと詳しく聞きたくなりました!




勝浦の椎茸のことへ
勝浦の米のこと その2へ
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by chibanokoto | 2011-07-11 04:42 | 最近体験した●●●のこと  

野田の枝豆のこと

千葉県は枝豆の出荷量が例年全国でも1位、2位と多く、
その中でも野田市の枝豆は特産品になってます。
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千葉では白毛種が主流で旬は7月。
うぶげが白く、鮮やかな緑色で癖が少ない事が特徴です。
その他の主要な枝豆には、8月が旬の山形、新潟等の茶豆。
うぶげが茶色く2粒入りが多くその分甘味が豊富です。
京都などでは9月が旬の黒豆が有名です。
黒大豆の若い枝豆でコクが強く深い甘味が特徴です。

今回お邪魔したのは、野田市三ツ堀の根本農園さん。
根本さんの枝豆は、6月に入ると極早生の収穫が始まり、
7月中旬の晩生の収穫で短いシーズンを終えるそうです。
訪問したのは7月上旬、最盛期の枝豆が畑を緑一色にしていました。
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栽培されている枝豆は、一般的な中粒の白毛種ですが根本さんの枝豆は、
薄い被膜がパンっと弾けて穏やかな甘味がじんわりひろがり、食べ応えある枝豆でした。
色調艶やかなこの枝豆の品種は「湯上り美人」。
茹でたてのこの枝豆には、なんだかぴったりの名前です。


枝豆は、大豆の未成熟豆としての野菜です。
大豆は縄文時代から食用途されていたようですが、
いつ頃から枝豆を食べる様になったのか?は定かでないようですが、
江戸時代初期には枝豆売りが登場し、枝つきのまま茹でた枝豆を売り
庶民は枝に付いたままの茹でた枝豆を、気楽に食べ歩いていたそうです。

美味しい枝豆の選び方は、鮮度保持し甘味が増す枝葉付きの物がお勧めです。
豆の粒の大きさが揃っていて色鮮やか、丈が短く、さやが密生しているものが
美味しい枝豆のポイントになるそうです。
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豆と野菜のいいとこ取りをした枝豆は、
ビタミンB1、A、Cを含む、夏場のスタミナ源としても期待できるようです。

品種の違いはありますが、このまま枝豆が成長すると「大豆」になります。
大豆からは醤油や味噌が醸成されます。枝豆→大豆→醸造。
全国でも有数な枝豆産地の野田市は実は「醤油の町」でもあるのです。


野田の醤油のことへ


・根元農園  野田市三堀
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by chibanokoto | 2011-07-09 02:42 | 最近体験した●●●のこと  

ちばのみりんのこと その3

流山から江戸川を遡ること十数分、利根川と江戸川を結ぶ利根運河と合流します。
利根運河は、全長約8.5Kmの日本一長い運河です。
210万人の労働者を動員し総延長8.5km、川底幅18m、平均水深1.6mの利根運河が
明治23年6月に完成すると、水運は活発になり一日平均100隻もの船がここを利用したとの事です。
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利根運河を上流へ数キロ進んだ所に、千葉県最北の造り酒屋、
窪田酒造さんが清酒を醸造しています。創業は明治五年(1872)、
利根運河開削にあわせ、初代吉宗さんがこの地を選び移ってきたそうです。
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奈良時代、西は東京都墨田区や江東区、東は千葉県船橋市、
北は埼玉県久喜市にまたがる広大な都、葛飾が存在しました。
奈良正倉院文書には「葛餝郡」と記され、万葉集では勝鹿・勝牡鹿・可豆思賀と
表記されているそうです。後に武蔵国、下総国に分かれ藩制、廃藩置県を経て
現在のような市町村となりますが、今でも、市川、船橋、松戸、野田、柏、流山、
我孫子、鎌ケ谷、浦安地域を指す地名として東葛と言う呼び名が残っています。
窪田酒造さんの清酒のブランド名は「勝鹿」万葉集の「かつしか」から取った物です。

窪田酒造さんのもう一つのブランドが古式造り本みりん「宝船」。創業時から伝統を守り、
飲用みりんの醸造を続けています。(勿論調味料としても最高のみりんです。)
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みりんの歴史は諸説ありますが、戦国時代には甘味が貴重な時代の飲み物、
お酒として既に飲まれていたそうです。
みりんの旨味とコクを隠し味として活用するようになったのは、
蕎麦屋、鰻屋等の料理屋が確立された江戸後期からの事です。

野田近辺でも、みりんは飲み物として浸透していました。
窪田酒造さんでは、大正期は清酒とみりんの出荷量は同じ位だったそうです。
みりんに焼酎を足して飲む「本直し」は、甘味も得られ、
アルコール度も高く、多くの人に親しまれていたそうです。
「本直し」は西では「柳蔭(ヤナギカゲ)」と呼ばれ、夏の暑気払いとして楽しまれていた事が、
上方落語の「青菜」の話の中でもうかがう事が出来ます。

本みりんは、蒸したもち米、米麹、アルコールを原料にし糖化、熟成させた酒類です。

窪田酒造さんがみりんに使う米の精米歩合は75%前後。
一般的なみりんの精米歩合が、おおよそ85%前後と言う事ですので高精白です。
精白された米は、水分を含ませる為に浸漬(シンセキ)されます。
麹は27~29%、掛米(もち米)で33%まで水分を含ませます。
清酒の浸漬よりやや高めの含有量です。
その後、掛米、もち米それぞれ甑(コシキ)で1時間ほど蒸されます。
大手ではみりんが白濁しないように、圧力を掛けてもち米を蒸すそうですが、
窪田酒造さんでは昔ながらの方法を用い、熟成の力に委ねて白濁を抑制しているそうです。

出来上がった米麹と蒸したもち米、アルコールを仕込みタンクで合わせもろみを造ります。
既にアルコールが入っているので、清酒の様にアルコールを作り出す酵母は必要ありません。
使う麹の割合は清酒同様の2割程度との事ですが、
もち米を溶かす麹の酵素力がとても重要になります。
使うアルコールの量は総量の66%。
清酒に使われる水の量が80%前後ですので、かなり濃度の高い物になります。
もろみは2ヶ月ほど熟成を施され、デンプンが糖分に、タンパク質がアミノ酸へ分解され
甘味、うまみ、香気成分が醸成されていきます。

熟成が終わると清酒と同様に上槽(ジョウソウ)され絞り作業に入ります。
みりんのもろみは清酒に比べ硬い物になるので、
高級酒に使われる手法の槽(フネ)で絞りを行います。
袋に取ったもろみを、一つ一つ枠にならべ、圧力を掛けてゆっくりじっくり絞られます。
上槽されたみりんはおり引きされ、瓶詰され窪田酒造さんの
古式造り本みりん「宝船」が製品となります。千葉、流山が発祥の白みりんの完成です。

窪田酒造さんを訪問した日は33度の猛暑日。
帰宅後、早速暑気払いで「古式本みりん」を頂きました。
麹の旨みがグッと来る上等なみりんです。折角なので趣向を凝らしカクテルも作ってみました。
ロックグラスにみりんを注ぎ、ミントとレモンスライスを沿え
(多目の方がサッパリと飲めます)みりんに対し3倍のソーダで満たします。
5%程度のアルコール度数ですので、夏の昼下がりでも気楽に飲めちゃいます。
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あてはこの時期が旬のちばの枝豆。
実は、窪田酒造さんがある野田市は、全国有数の枝豆特産地です。

ちばの枝豆のことへ
ちばのみりんのこと その1へ
ちばのみりんのこと その2へ

清酒「勝鹿」窪田酒造へ
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by chibanokoto | 2011-07-07 04:25 | 最近体験した●●●のこと  

勝浦の椎茸のこと

勝浦の高旨(タカムネ)さんを訪問しました。
勝浦と言えば海をイメージされると思いますが、ここはごらんの通りの里山です。
大多喜から勝浦へ向かって車を走らせる事数分の市町境に位置します。
高旨さんは木々に囲まれたこの土地で、椎茸の原木栽培をしています。
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「くぬぎ」や「ミズナラ」「栗」「椎」などの木を使う方も居ますが、
高旨さんが使用する木は主に「なら」です。
千葉県の「なら」は、生息している周りの草木も発育が良いので、
木にツタのように巻き付き、真っ直ぐな原木を大量に安定適に入手する事が難しく、
毎年近隣県の寒冷地から、栽培する椎茸に相応しい原木を取り寄せているとの事です。

椎茸は原木から栄養を吸収しながら実を形成するので、
原木選びと管理は非常に重要な作業なのだそうです。
画像は最盛期の冬に使用される原木が、規則的に組まれている所です。
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原木が栽培場に届いてから先ず行う事は、椎茸菌を植え付ける「植菌作業」です。
原木に穴を開け椎茸菌を植え込みます。一本の木に20箇所くらいでしょうか?
菌を植え付けた原木(菌が付いた木はホダ木と言います)は四角く組まれ、
椎茸菌が原木を腐朽させながら十分に栄養を吸収し、
椎茸の発生適期が来るまでじっくりと管理しながら待ちます。

腐朽が進み、椎茸が発生しやすい状態になったホダ木を冷水に一晩漬けます。
十分に浸水したホダ木は発生用のホ場(ハウス内)へ並べられます。
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椎茸が程よく成長しところで収穫です。

夏場は温度が上がり過ぎる(35度以上)と椎茸菌自体が死んでしまいます。
そうならない様にハウスの窓を開けたりしますが、
風が通り過ぎても乾燥してしまい、椎茸が育つ前に干からびてしまうので、
ハウスの中に散水したり、山の下にハウスを建てたりと工夫をしています。
高旨さんのハウスには、日よけのキウイの木が葉を茂らせていました。

しかし・・・、高旨さんのホ場に椎茸は殆どありません。
ご主人が「夏の椎茸はお勧めしない。11月にまたおいで」と教えてくれました。
最盛期の11月の椎茸は肉厚でジューシー、香り豊かな椎茸が収穫出来るそうです。

高旨さんは栽培から収穫、受発注から出荷まで全てご自身で行っています。
大量生産大量販売は行わずに、消費者の顔の見える範囲で生産し販売を行っています。
夏のホ場に椎茸が殆ど無い理由が、なんだか分かった気がします。

色々なお話を伺った帰りに、乾燥椎茸を分けて頂きました。
母屋の軒先で丁寧に干されていた椎茸です。
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その場で早速開封してみると、濃縮された椎茸の香りがフワ~ッと広がります。
そのままスナックのように頂けます。
しっかりと干されているのに、口に当たらない旨みの広がる干し椎茸です。
椎茸栽培の方法で菌床栽培がありますが、菌床栽培では、自然ではない工程があるので、
干た椎茸をそのまま美味しく食べられる事は無いようです。
(菌床椎茸は形が整っていて、流通面では都合の良い事も多いですし、
香味が少なく子供の椎茸嫌いが直ったという話しもあるそうですが、
個人的には、原木の栄養をたっぷりと吸収した椎茸とは別ものに思います。)
帰宅後、頂いた乾燥椎茸は戻してお吸い物に、そうめんの具にと
色々と使わせていただき、家族でアッと言う間に完食してしまいました!

実は高旨さんはお米も栽培しています。このお米がまた凄いんです!
11月の椎茸の収穫時にもまたお邪魔しますが、夏、秋、冬と
ホ場や稲田の状況を、高旨農園のご長男、昌史さんと一緒に
継続して紹介して行きと思っています!



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by chibanokoto | 2011-07-01 03:24 | 最近体験した●●●のこと