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富津の醤油のこと その2

千葉県富津の「タマサ醤油」宮醤油店さんの屋号は「伊勢正」
初代は屋号の通り伊勢(三重)のご出身です。
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ちなみに銚子のヤマサ醤油の初代は、紀伊(和歌山)の出身です。
ご先祖達は、伊勢、紀伊方面から黒潮に乗り房総に辿り着き、
故郷と似た場所を生活の地に選び定住した方々。
和歌山と千葉に同じような地名を見受けるのはそのためとも言われています。
醤油の発祥地紀伊と房総の醤油醸造も無縁ではないようです。

野田の醤油は江戸川、銚子の醤油は利根川の水運を使い
江戸に醤油を卸し繁栄しましたが、 富津の醤油は海運を利用していたそうです。
宮醤油店さんによれば、江戸(東京)湾内は、湾外の潮の流れが緩やかにうずを巻き、
その流れに乗って富津と江戸を行き来する事が出来たとのことです。

湾外に流れる潮は黒潮で、江戸時代には、紀伊や伊勢の旅網と呼ばれる
漁師達が黒潮に乗り、房総で干鰯(ほしか)を作っていたそうです。
干鰯は、稲田や綿花の栽培等で使われ、高値で取引される人気の肥料。
旅網たちは組織的に鰯を獲り、鰯から油を搾り、搾り粕や丸の鰯を干して
肥料を作り流通していたそうです。鰯の漁獲量が多い房総沿岸の村々は、
大規模な漁法を覚え干鰯の特産地としても発展しました。 

それまで主に醤油発祥の地、紀伊や上方から運ばれていた醤油も、
江戸に近く、大豆や麦が豊富な房総で大規模に醸造されるようになって行きます。
黒潮が運んだ人々と知識は、千葉の醤油産業にも影響していたようです。
紀伊半島と房総半島の関係は、とっても奥が深そうです。
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こちらは宮醤油店さんが作るポン酢しょうゆ。
地元の夏みかんを搾り、タマサ醤油とあわせ作っています。
柔らかい甘酸っぱい美味しさは、湯豆腐に使うと良く分ります。
我が家は追加の豆腐を、2丁買いに走った程ハマリました・・・。
(千葉のみかんも紀伊との関係があるのだろうか??)

・夏甘ポン酢醤油
・360ml
・¥590


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宮醤油店
千葉県富津市佐貫247
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by chibanokoto | 2012-02-13 14:36 | 最近体験した●●●のこと  

富津の醤油のこと その1

富津の老舗醤油蔵、創業天保五年(1834年)宮醤油店さんへ行ってきました。
銘柄は木桶で仕込む「タマサ醤油」天然醸造、本醸造の醤油です。
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今回は先代から千葉の醤油の歴史、醤油の種類、醸造方法とじっくり教えて頂きました。
質問すれば、どこでもすぐに黒板を見つけ解説してくれます。
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醤油の醸造は、大きく分けるとアミノ酸液を混ぜて造る「新式醸造」と、
大豆と小麦で造られる「本醸造」とになるそうで、更に本醸造には、
醸造温度を調整し、発酵を促進し短期間で造る「温醸造」と、
1年間の気候を機械的に再現し、大きな設備で通年量産する「適温醸造」、
寒暖差を利用し、季節に合わせて仕込む「天然醸造」に分ける事が出来るそうです。

宮醤油店さんの基本的な醤油醸造は、11~5月に仕込みを行い醸造したもろみを
1~2年掛けて熟成を施し絞る「天然醸造」、本醸造の醤油を代々引き継ぎ造っています。
小麦は地元の物を使いますが、大豆は福岡から取り寄せる丸大豆。
新潟や千葉産に比べ甘さが少なく窒素分が多いので醤油には最適なのだそうです。
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小麦を炒り砕き、蒸し上げた大豆と合わせ、見た事も無い大きな石槽で麹を造ります。
出来上がった麹は木桶に移し、塩水と合わせてもろみを造ります。
麹菌により大豆のタンパク質はアミノ酸に、小麦の澱粉はぶどう糖へと分解されます。
その分解を緩やかに促進するのが塩水。
塩の役目は塩気をつける為だけではないのですね。
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気候が暖かくなると、もろみは乳酸菌や酵母が働き有機酸の生成や発酵が始まります。
そして気温が下がる秋口から暫くは熟成期間。
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香りと味が調和する2年目に、もろみを圧搾し醤油が出来上がります。
こちらは酒粕ならぬ醤油粕。ふすまの様な感触でポロポロです。
牛の飼料に利用されるのですが、つまんでみたらほんのり香ばしい醤油粉といった感じでした。
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宮醤油店さんの醤油は濃口醤油ですが、ひと通り味をみさせて頂いところ
薄塩醤油も再仕込み醤油も、刺身醤油もどれも共通してコクがあり
ツンとした辛さが無く、まろやかで旨味のひろがる味わいに仕立てられていました。
宮醤油店さんの「タマサ醤油」は厳選素材と伝統の仕込み方法、
長年家や木桶に住みついた酵母と、千葉の気候が造り上げる醤油の味なのですね。

今回購入したのはタマサ醤油のスタンダード。豆腐に振ると大豆の甘さを強く感じます。
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・木桶仕込み 一年熟成タマサ醤油
・360ml
・¥283 

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宮醤油店
千葉県富津市佐貫247
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by chibanokoto | 2012-02-07 04:10 | 最近体験した●●●のこと  

勝浦の椎茸の原木

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こちらは木こりさんの画像ではありません。
高旨農園さんの椎茸栽培の様子です。
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椎茸栽培に使用する原木は、軽車両がなんとか通れる山道を数十分走り
ようやくたどり着く山間で、自然環境を配慮し伐採されています。
この道を何往復もし伐採し、6000本の原木を作り栽培所まで運ぶ事を想像すると、
大変な作業だと言う事が分ります。この作業だけで、一つの会社の専門事業のようです。

山は基盤である椎茸の原木を提供してくれるだけではなく、様々な旬の味覚を与えてくれます。
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その一つがタケノコ。
千葉県では隣接する大多喜市のタケノコが有名ですが、
高旨さんの山は関東ローム層からなる粘土質の土壌で、タケノコがすくすく育つ環境。
画像のような、色白でムッチリ太った旨味の多いたけのこが採れるそうなのです。

今年の春は、千葉でも指折りの高旨さんのコシヒカリの田んぼの事と、
このタケノコのとを詳しく教えていただきたいと思っています。

高旨農園の椎茸のことへ
高旨農園の米のことへ
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by chibanokoto | 2012-02-06 04:22 | 最近体験した●●●のこと  

富津の清酒「聖泉」のこと

富津市竹岡の和蔵酒造さんに行ってきました。
今回は家族でお邪魔し、社長自ら最盛期の酒蔵で
日本酒のイロハを小学生にも分かり易く教えて頂きました。
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和蔵酒造さんは創業明治7年(1874年)小高い山を背に、
蔵の脇を流れる湊川、 目の前には富士山を望む内房の浜が僅か50mと、
三方を自然に囲まれ海風漂う立地に位置し、清酒「聖泉」を醸造されています。
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仕込み水は地下120m、上総掘りの深井戸から汲み上げられる弱硬水。
酒米は地元契約農家から届く「総の舞」「ふさこがね」を主に、
全量自家精米で米の出来を見極め、温度と時間を調整し米を磨いていきます。
数日前に3昼夜掛けて精米した大吟醸の原料米を手に、
飯米との違い、お米を磨く意味などを細かく教えて頂きました。
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次なる作業は洗米と浸漬(お米に最適な水分を含ませる秒単位で行われる重要な作業)
水は銘柄「聖泉」の由来ともなる冷たい湧き水を蔵まで引き込み使用します。
極寒の季節には堪える作業です。
そして大きな蒸篭、甑(こしき)で麹米、掛米になる為に米が蒸しあげられます。
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特別に麹室(こうじむろ)へ。蒸し米に麹菌を振り麹を造ります。
「一に麹、二に酒母、三に醪(もろみ)」と言われるほど麹は日本酒の出来を左右します。
お米のデンプンを麹の力で糖化し、アルコールにする準備が行われます。
画像は二日目の麹。少しふんわりしてきています。
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麹は酒母室に運ばれ、純粋酵母を得る為に仕込み水と乳酸菌と合わせられ
お酒の元が造られます。
タイミング良く初日の酒母から1週間後の酒母まで順を追って拝見する事が出来ました。
お米が溶け出している様が良く分ります。
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こちらは醪(もろみ)造り、培養された酒母に蒸し米、水、麹を
数回に分けて投下し増やしていきます。とろとろの甘酒のようになった醪のタンクに
顔を近づけると、プチプチと音を立てた炭酸ガスの香気がわっと上がってきます。
日本酒になる直前です。
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醪は毎日タンクごとに理科室のような部屋で成分分析が行われ、
健全に酵母の力で醗酵が行われると絞り、酒粕と液体に分けられ日本酒が完成します。
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息子には難しい工程もあったようですが、
醗酵の不思議と日本酒が生き物である事に興味を示してくれました。
日本酒の伝統と、おとうが日本酒を飲んでニンマリする理由もわかってもらえたかな?

和蔵酒造さんのモットーは、基本に忠実で手間を惜しまない誠実な酒造り
米の旨みを生かし、料理の邪魔をしない包容力のある日本酒です。
出来立ての絞りたても美味しいですが、
程よく熟成された晩夏の味にこの蔵の真骨頂を感じます。
その頃地元の港には、沖合を回遊せず沿岸の瀬に居着き、
運動せずに豊富なエサを食べて脂の乗る黄色いアジ「黄金アジ」が水揚げされます。
この黄金アジのなめろうを、富津の地酒「聖泉」と合わせるのがたまらなく好きなのです。

今回購入した聖泉は純米生原酒無濾過
麹の旨味がドッシリひろがり、フレッシュな酸が余韻を整える冬季限定酒でした。
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・原料米   麹米、総の米 / 掛米、ふさこがね
・精米歩合  62%
・18~19度
・720ml  ¥1365

・和蔵酒造竹岡蔵   富津市竹岡1
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by chibanokoto | 2012-02-02 05:04 | 最近体験した●●●のこと